【コラム風日記】モスバーガーの狼

2月 13, 2019

私はモスバーガーによく行く。たくさんのファストフード店がある中で断トツにモスバーガーを利用している。その理由としては、モスバーガーは他のファストフード店と比べると静かだから。私は煙草を吸うので喫煙ルームがあるというのも大きな理由のひとつである

そんなモスバーガー愛好家の私なのだが、先日モスバーガー店内で恐ろしい事態に出くわした。その日も珈琲を飲みながらゆったり読書をしようとモスバーガーへ。

いつもの喫煙ルームに入る。喫煙ルームにはテーブル席が3つとカウンター席が5つ、テーブル席は2席埋まっており、カウンター席は空いていたので、カウンター席へ。私は煙草に火をつけしばしの休息タイムへと入った。

私の他にテーブル席2席に一人づつ先客がいた。一人は若い女金髪で女子大の2年生くらいだろうか、家が近くなのかスウェットを履いている。もう一人は60~70代くらいの初老の男性。ベレー帽を被りながら昔ながらのラジオ機器でラジオを聴いている。

後々分かることだが、この初老の男性こそが事件の原因となる。

私は煙草を吸い終えると読書を始めた。モスバーガーは静かなので読書がはかどる。しばらくすると、若い女が電話をし始めた。どうやら友達とのライン通話のようだ。

Bluetoothイヤホンで、一応周りに人がいるということで、声を殺しながらではあるが、通話を楽しんでいる。私はそんなに気にはならなかったので、読書を黙々と黙読していた。

そしてしばらくすると、急に「ヴォー!!」という叫び声が聞こえた。

私はビクッ!と体が軽く宙に浮いた。なんだ!?と思い音の方を見ると、その声の正体は初老の男性だった。近くにいた若い女も一瞬固まった、が通話を続けていた。

これはその空間にいた人しか分からないと思うのだが、静かな空間での急な雄叫びはとてつもない恐怖である。お化け屋敷とかの恐怖ではなく、急に後ろから首もとにナイフを突き付けられたような恐怖感だった。

急に心臓がバクバク言い出した。心臓が飛び出ていないか心配だ(心肺が心配)

そんな初老の雄叫びは定期的に発せられる。5分に一回のペースで「ヴォー!!」と叫ぶ。しかも雄叫びのスパンが徐々に短くなっているのに気付いた。

なぜ急に雄叫びを上げだしたのか?不思議に思った私だがひとつ答えを見つけ出した。

それは若い女の電話だ。これは間違いない。若い女が通話しだしてから雄叫びが始まったし、若い女が通話をつづけるにつれて、雄叫びのスパンは短くなっている。なおかつ声量も増している。

いや普通に注意したらいい話だろ!なんだその野生動物のような威嚇の仕方は!

威嚇して、敵を退けようとしているのか?人間のすることじゃない。ここまでくると、通常席にまで声が漏れていて店内は騒然となっている。

店員は一体なにをしているんだ!我関せずスタイルをとっている。給料泥棒が!こんな客は出禁にしろ!

私も頭のなかでイメージトレーニングを巡らし、注意の方法、もし殴りかかってきた時のシミュレーションをするが、まったくチキン過ぎてなにも出来ない。情けないより恐怖が勝った。小動物の気持ちが分かる分かる。

私はイヤホンをつけて聞こえないふりをしてしまった。めちゃめちゃヘタレ野郎だ。先祖に謝りたいくらいだ。

しばらく雄叫びは続き、デスタイムを過ごしていた。そんな初めて見た老害じじいの雄叫び攻撃に当の本人の若い女は気にも止めず友達とのライン通話をまだまだ楽しんでいた。

なんという女なんだ。なんという無心臓なんだもう尊敬に値する。

しかし、その時今日一番の雄叫びが!

「ヴォーーーー!!!!!」「ハアハアハアハア!!」「ヴォーーーー!!!!!!!」鼻息も荒く興奮常態だ!なにをするか分からない。膨れ上がった風船が今まさに破裂しそうな状態だ。

狼男が狼に変身するかのごとく大音量の雄叫びと破壊神の形相。

いいかげんにしてくれ!若い女は早く電話を切ってくれ!心の中で叫ぶ。このままでは私にまで被害が及びそうだ。

その時だ。若い女がようやく原因は私だと気付いたのか、電話をきり、そそくさと身支度を始めて帰っていった。狼男を睨み付けながら。

かっこよすぎるだろ。

そして、雄叫びは止んだ。

初老の老害は狼にはならなかった。

あー助かった。